以下、臨也×静雄でSSです。
年齢制限はとりあえず無いはずです。

私は文章にタイトルをつけるセンスが皆無なので
タイトルは無題ですｗ

　サングラスを外すと、あどけない瞳を覗かす。
「顔は美人なんだよねー」
　口笛を吹き、臨也は素直な感想をこぼした。
　軽く頬を叩いてみるが、豪腕のパンチが入らないとは嘘の様に柔らかい。



　今から１５分前のことだった。
　前方から千鳥足で歩いてくる男の存在を臨也は確認した。
　相当酔っているのだろう、男はそのまま電柱に寄りかかり、そして沈んだ。
「お～い、大丈夫？」
　目の前で酔い潰れ、今にも寝てしまいそうな男は犬猿の仲で、会えば殺し合いの喧嘩をしている、いけ好かない男
　平和島静雄
「あ？あぁ・・」
「こんなところで寝ると風邪引いちゃうよー」
　いつもなら問答無用で殴りかかってくる男が今は一番嫌悪している人間の顔を呆けた顔で見ている。
　静雄を倒したいと思っている人間にでも売ってやろうかと、嫌がらせの数々を臨也が思案していると、視線の先にある建物が入った。

　

　ムードありありなダブルベットに静雄を投げ置いた臨也は溜め息をついた。
「あー、疲れた。シズちゃん細いけど、やっぱり重いや」
　乱暴に取り扱ったが、起きる気配はまったく無く、これで朝まで好き勝手できると確信する。
「あー、楽しみだなー！この世で一番嫌いな俺とラブホテルなんかで過ごしたなんて、シズちゃんが気づいたらどんな反応をするだろう」
　怒り狂って、このキングサイズのベットを俺に投げつけるのだろうか
「間抜けだよね」
　タイを外し、シャツのボタンに手をかける。
　裸にして、写メも撮ってやろう。ネットに流出してやるのも面白い。
　ガキ臭い嫌がらせだが、案外こういった嫌がらせが一番相手を傷つけられる。
「シズちゃんって、あれだけ喧嘩してるのに身体に傷一つつかないんだねー」
　喧嘩人形と言われている割に、引き締まった筋肉を白い滑らかな皮膚が覆っている。
　臨也の背に一瞬電流の様なものが走った。
「あれ？もしかして俺シズちゃんに欲情しちゃってる？」
　新しい玩具を手に入れた子供の様に笑い、臨也は目を細める。
　さすがに、抱くという思考は無かった。だが、この目の前の天敵を雄として支配してしまうのも面白い。
「初めての相手が俺なんて、最高じゃない！ショックで自殺とかしちゃうかな」
　まあ、自殺はないか
　静雄のベルトに臨也の手がかかったとき、静雄の苦しそうな声とともに、何かを探すように手が伸ばされた。
　ビクリと臨也は身体を震わせ、そして動きを止めた。
　万が一の事を考え、臨也は隠し持っていたバタフライナイフを手に握り締める。
　だが、静雄は起きることも無く、ただ苦しそうに手を伸ばしている。
「なに？」
　警戒していた臨也の袖を、その手が捕らえる。
「い・ざ・や？」
　臨也は舌打ちをし、静雄の首筋にその鋭利な刃をつきつける。
「なんで、おまえは俺が憎いんだ？」
「シズちゃん？」
「どうして俺に構う？何故放っておいてくれないんだ？俺はただ静かに暮らしたいだけなのに・・」
　一方的な質問。どうやらただ寝ぼけているだけの様で、臨也は安堵の溜め息をつく。
「言ったじゃない、俺は理屈も駆け引きも通じない人間が嫌いなの。些細な事で傷ついたり、悩んだり、絶望したりする人間が大好きなんだ」
「おまえとは、もう少し上手く付き合いたかった・・」
「どうしたの、全然シズちゃんらしくない発言だね。気味が悪いよ」
「やっぱり、ノミ蟲とは話が通じねー」
「何をいまさら、話をする前に殴りかかってきてたのはそっちじゃない」
「初から、俺の話なんて聞いてねーだろ。散々人の気持ちをかき乱しておていよ」
　そういい捨て、静雄は身を丸くする。
「寒ぃ・・」
「いいよ、今から温めてあげるから」
　臨也は静雄の顔を正面に向け、己の口で相手の口を覆った。
　舌を絡ませたとき、臨也は怪訝な視線を焦点の合わない静雄に向ける。
　何故なら、絶対に起こらないと思っていたことが起きたからだ。
　静雄自身も臨也に応えるかの様に、舌を絡ませてきたのだ。

　ただ、熱く滑る感触が口の中に広がる。

「シズちゃん・・」
　次に話しかけたとき静雄の瞳は閉じられ、頬を紅潮したまま眠っていた。




　本当に苦手だよ。
　単純なくせして、たまに訳わからないことするから気が殺がれちゃった。
　目が覚めたとき、一人で何故ラブホにいたかを考えて、悩めばいいんだ。


　折原臨也ははき捨てるように池袋を後にした。



END



　

[26回]